理科とのコラボカリキュラム〜ちびっこクラス

2023.08.30
日々作・ちびっこ 〜 ちびっこのせいさくレポート 〜

ちびっこクラスでは、
6月下旬、2週にわたり「理科で遊ぼう会」さんとのコラボカリキュラムを実施しました。

理科で遊ぼう会さんは、相模原を中心に、
子どもたちに理科を通してものを考え作り出す喜びと学びを体験する場を作る活動をしています。

このアトリエではSTEAM教育の一環として、
理科で遊ぼう会さんとのコラボを定期的に行っています。

STEAM( すちーむ ) 教育は、 理系の教科 Science、 Technology、 Engineering、 Mathematics に
Arts (芸術) を加えた、 すべての教科の頭文字を取って作った造語で、
理系の教科を総合的にイベントやプロジェクトを通じて自分ごとにして深く学ぼう、 という教育の形です。

これ、すごくいい教育なんですが、なかなか普及していません。

教科が複数にわたるので、現場の先生が導入しようとすると
かなりの理解と気合が必要です。それでなくても忙しい現場の先生同士で
話し合ったり時間割を合わせたりしないといけないからです。

一方で塾などで「ロボットプログラミング」と称している
ところはありますが、
「理系のイロイロを有機的にたのしくまなぶぞ!」が本来のSTEAM教育ですので、
STEAMイコールプログラミング、ではないんですね。

現場が忙し過ぎてなかなか普及しないなら、
市民レベルでSTEAM( すちーむ ) 教育の楽しい事例をたくさん作ってノウハウをためて、
公立私立の学校さんにつかってもらおう、とはじまったのがこのプロジェクトです。

今年はこれまでの活動が認められて、
東京応科学という財団さんから助成金をいただくことができました。

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1週目の講座では、昨年度の復習を兼ねて、
プラスチックの種類、与える環境への影響、昨年度実施した煮干しを使った実験の復習などを行いました。

その過程で、プラスチックゼロ生活に試みた男性についての記事をみんなで見ました。
その中で、「これじゃ全然生活できないじゃん!」などの声が上がってきていて、
プラスチックが日々の生活に与える影響を感じたのではないでしょうか。

その後、各自顕微鏡を使い、綿・麻・プラスチック(ポリエステル)を観察しました。
そこで、それぞれの素材の作りなどの違いを発見しました。

 

綿・麻・プラスチック(ポリエステル)それぞれの素材を実際にライターで燃やして見たときに起こる反応の違いも観察しました。

プラスチック製の素材を燃やした時は、黒煙と共にどんどん溶けていくのを見るのは大変興味深く、
「有毒ガスが出る!」と言って、暑くてしていなかったマスクを全員が一斉に着けていくのを見てるのは、ちょっと面白かったです。

 

せっかく顕微鏡を使っているからということで、動物や植物などのプレパラートを観察し、見たものをスケッチしました。

 

 

2週目は、先週少し触れた「プラスチック製の物を違う素材で代用できないか」に
焦点を当てた講座で、実際にプラスチックの代わりになる素材をみんなで考えたりしました。

 

最終的には、プラスチックボタンの代わりに、陶土ボタンを作りました。

陶土とは、お皿などを作る際に使われたりしていて、強度を増すため、
乾燥してからオーブンで焼き上げるのが特徴です。

四色のうちの一色を選んでもらって、一人2つから3つほど、ボタンを作りました。

必ず1つのボタンは、丸い形のボタンを練習としてつくるというのが掟なのですが、それ以外は自由です!

選んでいた型によって子どもたちそれぞれの個性を感じられましたし、
その中、同じ型でも追加で模様を自分で足しながらアレンジを
加えていた子などもいて、非常に興味深かったです。

中には、「猫が作りたいけど、型がない!」と言って、自分で最初から
形を切り取っていた子などもいました。

ジンベエザメをつくっている子もいれば、カエルや自分のキャラクターをつくっているこどもたちもいました。

さらには、立体的な猫ちゃんをつくっている女の子たちや、
2色の陶土を交互に使い、白と黒が逆になっている、逆パンダを作っている子もいました!

 

1週間乾燥させてからオーブンで焼き上げました。

完成品⬇️

 

 

 

〜父母の感想〜
絵画造形教室なのに、全く異なる理科と美術とのコラボ。予想だにしていませんでした。
理科実験や観察は、女の子には興味関心の低い子が多いかもしれませんが、
男の子はめちゃくちゃテンションが上がる分野⤴️
でも、楽しみだけではなく、自分たちの生活に密着した環境問題を考えさせるような内容で、
性別年齢関係なく、
みんなが考えていかないといけないことを題材としていて、
子どもたちのこれからに大きな影響を与えた授業をしてくださったと感じます。

最後には、アルケミストならではの観察画、代用品の制作も考えられていて、
カリキュラム構成に抜かりないところがさすがアルケミスト❗️ですね。

〜アルケミストより〜

そんなふうに思ってくださって本当にありがたいです。。
自然環境やプラスチック問題は、
今のちびっ子はもう自分達がすむ環境にダイレクトに影響してしまう問題なので、
避けて通れないと思うんです。
やみくもに「環境のことも考えないといけません!」ということでなくって、
どうしてだろう、なんでそうなんだろう、と理由をひもときながら、自分の目と手で確かめて
すとん、と腑におちればいいなと思っています。

単純に絵を『うまく』なるために習う、
というより、
からだ的にもこころ的にも
さまざまな学習のベース体験になることを、
制作を通じてやりたい、と私たちは思っています。

結果的にそれが、
みんなでワイワイ騒ぎながら
顕微鏡を覗いたりTシャツをちぎって燃やしたり(笑)といった、
めずらしくて楽しい思い出と繋がっていたら一番嬉しいです^^