アトリエを守ってくださるひとびと
 〜スタッフあぐりちゃんの卒業〜

2025.03.14
日々のこと

スタッフあぐりちゃんの卒業

3月14日、今日は武蔵野美術大学の卒業式の日です。

昨年まで長らくスタッフを務めてくれていた
あぐりちゃんの卒業の日です。

あぐりちゃんは、小学校低学年のときに
アルケミストのちびっ子クラスにやってきました。

あかるくて元気な子で、当時の男性スタッフや校長先生と遊ぶのが大好きでした。


作るものは工作も絵もどちらも好き。
よく、工作でおうちを作っていました。

***
中学受験をするため、いったんアトリエを離れたあぐりちゃんですが、

高校は美術系に行きたい!ということでデッサンを学びにアルケミストに来てくれました。


制服姿で一生懸命イーゼルに向かっていた
あぐりちゃんが、とても印象に残っています。

アルケミストには受験デッサンクラス、というものがありません。


受験デッサンは
たくさんライバルがいる、プレッシャーがかかる空間の中で
ゴリゴリ描く練習をする必要があるからです。



のんびりゆったりのアルケミストだと、

雰囲気からして不合格なんですね^^;

では私たちならできることってなんだろう?

と考えて、あぐりちゃんには
「ながく制作とつきあえる、素地をつくる」を目標に
デッサンに取り組んでもらいました。

受験は人生のなかの数年。
でも、人の人生はもっとながくつづきます。

基礎の基礎をアルケミストで体感して、できるようになったら予備校と
並行してやっていこう、というスタイルになりました。



努力家のあぐりちゃんは、現役で武蔵野美術大学に合格。
おうちを作るのが好きだったそのままに、インテリアを専攻することに。

そしてそのまま、アルケミストのスタッフとして働いてくれるようになりました。

****

アルケミストでスタッフをしてくださっている方は、
何通りかのパターンがあります。



⚫︎アルケミストをいいなと思ってくれて、ボランティアスタッフに応募してくださり、
 
あまりに素敵な働きぶりなのでスカウトされるパターン


⚫︎アルケミストにちいさいころ通っていて、大きくなってスタッフとして参加したい!と
 戻ってきてくれるパターン



ほかにも、お子さまが以前通われているお母さまが、
子育てがひと段落したときに
「うちの子が通っていたこの場所のお手伝いができたら」と手を挙げてくださる
ありがたい方も
いらっしゃいます。



アルバイト希望!と手を挙げてくださる方もおりますが、

じつはなかなかに独特な指導法とカリキュラムで
動いているアルケミストでは、
即戦力?が難しく。。。


ボランティアさんからスタートすることがとても多いです。



そのなかでも、
あぐりちゃんのように
小さい頃から通っている子がスタッフさんになってくださるのは
本当に嬉しいですし、力になります。



なぜなら、
彼ら・彼女たちは、
呼吸をするように自然に神対応ができるからです。

ちいさいころから
ずっと、
シャワーのように浴びてきた対応を、
そのまま
自分がしてもらったようにしてあげる。


考える前に身体が動く。



何人かいるなかで
ちょっとフリーズしていると感じた子がいたらすっとそばにいく。


この空気はいい感じな盛り上がりではないなと感じたら、場に応じた方法でクールダウンする。



そばで見ていて、本当にすごいなあと思うことがたくさんあります。
*****


あぐりちゃんはもともとの聡明さや真面目さもあって、

キレッキレの対応ができるスタッフさんでした。



明るく場を盛り上げる系の対応が得意で、

なおかつ、必要なときはしっかり叱れる、というひとです。



叱るってすごく難しくって、
萎縮させちゃったり、空気悪くしちゃったりしたら
どうしよう・・と思われるスタッフさんも多いのですが、


本当に大事だと思っていて、
そのひとが怒ってなければぜんぜん大丈夫なんです。



イライラや困ったきもちをぶつける、というのと、
この場はこうだから違うんだよ!と
主張しながら伝えるのは別だからです。

あぐりちゃんはそんな対応ができるスタッフさんでした。

やり方に戸惑う子がいたら、納得するまで一緒についてくれるので、
彼女の周りにはいつも相談したい子が集まっていました。

https://fb.watch/yfuurRICVK/



通常のちびっ子クラスに加えて単科のイラストクラスを担当してもらいました。

少人数で彼女に触れることができた子は
ラッキーだったのでは、と思います。


単科のイラストクラスの最終日では、
お花やケーキをいただくなど
うれしいサプライズもありました。

私はあぐりちゃんと金曜クラスを担当していたのですが、お仕事の合間で
女子大生らしく、おしゃれの話やお出かけの話、進路の話などなどを
聞けるのも楽しくて、
あっという間に時間が過ぎました。





大学生生活で進路をよく考え、公務員をめざすことにしたあぐりちゃんは

早めにアルケミストのスタッフのお仕事を卒業して
公務員試験の受験勉強を
大学の勉強と並行して行うことにしました。

そんなあぐりちゃんの卒業制作のテーマは「温泉」。
ひといきつける場、というコンセプトで企画・制作をしました。

『温泉旅館「一息」。
来る時は、ひといきついてゆっくりと休まる
発つ時は、もう一息頑張る
来る人の安らぎと背中を押す存在でありたい場所です。』

とのこと。

それはいつもあぐりちゃんがほかの子に
していたことだよな、と思います。




そして、今日。
大学の卒業の日になります。



小さい頃から見ていたひとが、
花が開くようにおおきくなっていって、

それぞれの道をみつけて。



ほんとうに
ぜいたくな仕事だなって思うのはこんなときです。



あぐりちゃん、ご卒業、ほんとにおめでとうございます。


あぐりちゃんのこれからに、たくさんのいいことがありますように。

またいつかどこかで、一緒にお仕事ができると楽しいですね^^

文責:アトリエ・アルケミスト主宰 羽田由樹子