写真家・香川賢志さん 〜「子どもの工作に光をあてる」アルケミストゆかりの作家さん・1〜

2026.07.09
日々のこと

アルケミストゆかりの作家さん〜

特集1:写真家・香川賢志(かがわ・けんじ)さん
   「子どもの工作」にプロの光を当てる

〜プロジェクト『Small Museum』の背景にあるもの〜

アトリエ・アルケミストには、ちびっこが「好き!」を全身で表現して作る、
たくさんの立体作品たちが日々できあがっています。
紙、段ボール、テープ、粘土・・・なかには、途中でやめてしまうものも。

「もってかえる!」と意気揚々と持って帰ってもらえる子(作品)もいれば、
アトリエにひっそり残る子(作品)もいます。

それらは一見すると、いつかは壊れて消えていく、
未完成で曖昧な作品かもしれません。

でも、その「名づけがたいもの」に、
プロの撮影技術と圧倒的な熱量で真正面から向き合ってくださる写真家さんがいます。

それが、プロジェクト『Small Museum(スモールミュージアム)』を主宰する
写真家・香川賢志さんです。

「自分自身の作品」を模索した先に

2020年春。香川さんはひとつの個人的な問いを抱えていました。
依頼を受けて製品や商品をきれいに撮る、いわゆる商業写真の仕事を
一線で続けるなかで、
「自分自身の作品をつくるとしたら、何ができるだろう?」という問いです。

 

その少し前、香川さんは美術作家・城田圭介さんの作品集の撮影を担当しました。
長い年月をかけてひとつのテーマを深く掘り下げ続ける、城田さんの真摯な制作姿勢。

そして、写真というメディアを作品の中に鮮やかに取り込む表現に触れ、
刺激を受けたそう。

 

 

同時に、香川さんは自問します。 「自分は、最初からアートフォトの世界を歩んできた作家ではない。では、自分には何ができるのだろう?」

考えた末に残ったのは、アシスタント時代から少しずつ積み重ねてきた
確かな「撮影技術」でした。

普段の仕事では、完成された製品や商品を撮影することが多い。


「それならば、その技術を『完成されたもの』ではなく、もっと曖昧で、名づけがたく、一見未完成なものへ向けてみたらどうなるだろう?」

商品のように言語化できる意図や意味があるわけではないけれど、
「なにか」が確かにある曖昧なもの。

そこに、自分が真剣に向き合ったら何が起こるか。
そんな実験的な好奇心が、すべての出発点でした。

アルケミストの片隅で見つけた、きらきらする生命力

モチーフを探していた香川さんの頭に浮かんだのが、
アトリエ・アルケミストの教室の片隅に並んでいた、
子どもたちの立体作品でした。

子どもたちが夢中になって作ったそれらは、名前もなく、説明もない。

けれど、大人の理屈を飛び越えた不思議な存在感を放っていました。

「この作品たちを、プロのスタジオ撮影の技術で、
真正面から見つめたらどうなるだろう」

こうしてスモールミュージアムの撮影ははじまりました。

そこで私たちは、「ふしぎな瞬間」を目撃することになります。

香川さんのスモールミュージアムの撮影は、
大人の美術作品とまったく同じように行います。

背景を整え、光をコントロールし、構図と質感に徹底的にこだわる。


すると、なにげない子どもたちの工作が、
まるで、どこかの美術館に展示されている「彫刻」や、
深い意味を持つ「現代美術」のように見えてくることがあるのです。

それを見た作者であるちびっこ自身が、「これ、すごいね…!」と、
自分で驚く場面もありました。

「上手・下手」でも「年齢」でもない。

子どもたちが身体で考え、試し、没頭した
「たいせつな時間の痕跡」が、
写真というメディアを通して、
目に見える可能性としてひろがっていく。

香川さんは、子どもと、作品を通じて
「共同制作」しているのかもしれません。

 

手のひらの上の美術館、ゆっくりと届くもの

香川さんがこれまでの活動で撮影してきた子どもたちの作品は、
一冊のちいさな写真集『スモールミュージアム』として結実しています。

その装丁は、ゴン、とスクエアな塊感があり、
まるで小さな展示空間に足を踏み入れるような静かな存在感があります。

 


中を開くと、年齢や文脈を飛び越えて、
一つひとつの作品が「自分はここに在る」と強く主張してくるかのよう。
圧倒的に「かっこいい」のです。

アートブックフェアでも、
この本は派手な呼び込みをせずとも、
多くの人が足を止め、
じっくりとページをめくってくださっていたそうです。

香川さんは、この本について
「腰を据えて、ゆっくり伝わっていけばいい」
とおっしゃっています。

急いで消費される本ではありません。
机の上に置けるほどの小さな小さな美術館。

けれどそこには、子どもが世界と出会った痕跡が、きらきらと残っています。
何度も開き、そのたびに違う作品が、違う角度で心に残り続ける本です。

 

 アルケミストより:制作体験の“つづき”を開く

子どもが「好き!」で心も身体もいっぱいにして制作するとき、
本当に何とも言えないいい表情になります。

私たちはそれをみるのが大好きで、アルケミストを続けてきました。

『 自分の好き、に心をまっすぐ傾けながら
 制作する営みそのものが、尊くて、美しいのだ』
と私たちは思っています。

 


アルケミストは、子どもの造形活動を、心・身体・脳の発達を支える大切な体験として捉えています。香川さんの『Small Museum』は、その瞬間の輝きを「あとから振り返れる形」にしてくれます。

制作のプロセスが写真によって再発見され、
子ども自身の誇らしい語りを生み、大人の見方を変えていく。

 

香川さんの写真は、私たちにとって、親子の制作体験の“つづき”を開いてくれる、
あたたかくて深い扉なのかな、と思っています。

 

香川賢志(Kagawa Kenji)
写真家。商業写真の分野で第一線で活躍する傍ら、
子どもたちの立体造形作品をスタジオ撮影で記録するプロジェクト『Small Museum』を主宰。
各地でコラボレーションやワークショップ、写真集の出版を行い、
子どもの表現の奥行きを社会に発信し続けている。

2026年7月29日、香川さんとのコラボワークショップが決定しました!

制作後、その作品を撮影していただける、というWSです。
WSで制作した作品のお写真は、デジタル上のスモールミュージアムに
掲載され、「デジタル美術館」の作品としてネット上に展示されます。

Small Museum

https://small-museum.com/

ちびっ子自身がお家などで制作した作品も
(別途有料ですが)撮影していただけるとのこと。
なかなかない体験かと思います。もし、よろしければ詳細をご覧くださいね*

 

 

募集詳細はこちらから↓

WS詳細情報

Small Museum(スモールミュージアム)× アトリエ・アルケミスト
特別コラボワークショップ
〜森の神さまをつくろう!〜
— 【作品制作】➕【写真撮影】 子どもの「つくった」が、美術館作品(アート)になるまで —

  • 日時: 7月29日(水)
  • 場所: 町田市四季彩の杜 薬師池公園 ウェルカムゲート
  • 時間: 制作30分・撮影30分の合計1時間・時間予約制
  • 対象:小学校1年生から6年生まで
  • 定員: 時間枠にひとつにつき6名まで
  • 参加費用:参加費用 1500円(材料費・撮影代・消費税 込) 
  • 持ち物:
     1. 汚れても良い服装
     2. 持ち帰り用の箱
      粘土が乾ききる前にお帰りになる場合もございます。
      空き箱(シューズボックスなど)が持ち帰りやすくておすすめです。
  • Small Museumについてhttps://small-museum.com/WSの当日撮影したお写真は、こちらのサイトに掲載されます*
    電子スモールミュージアムに「展示」されるということですね^^

お申し込みはこちらから(リンクからお申し込みください)
日時 2026年7月29日(水)
 
10:00〜の回
https://reserve.peraichi.com/r/3e48e413/select_date?course=82862

10:30〜の回
https://reserve.peraichi.com/r/f5e2bf4b/select_date?course=82863

11:00〜の回
https://reserve.peraichi.com/r/27bed851/select_date?course=82864

11:30〜の回
https://reserve.peraichi.com/r/56f50a30/select_date?course=82865

13:30〜の回
https://reserve.peraichi.com/r/6126a1c1/select_date?course=82866

14:00〜の回
https://reserve.peraichi.com/r/57cd53f3/select_date?course=82867